対数関数について
をでない複素数とするとき,
を満たす複素数をの対数と呼びますね.では
とは何でしょうか.例えばを,多くの?本や講義では
などとわけわからん定義をしています.(いや僕が読み間違えているだけかもしれませんが,そのような場合は「お前はここを誤解している」とコメントで教えてください.)
しかし,このような不定形では数学の対象になり得ないでしょう!しかも上の定義だと等号の乱用を招いてしまいます.
な訳がありません.まあなら正しいというわけですが,非常に気持ちが悪い.僕はを
とするのがベターだと考えています.正式に現代的な(集合論的な)流儀で書き直すと
によりを定めることになりますが,このは上の写像でありますし,値の意味も明確ですね.
この形式の定義はあまり見かけない,というか,僕の思考史においては僕オリジナルの定義なのですが,別にプロから怒られるような勝手な定義ではないことを,ブルバキのメンバーHenri Cartanが著書「複素関数論」を盾に弁解しておきましょう.
Cartanの説明を大雑把に書きましょう.いま
とおきます.そしてを
なる写像とすると,は群から群への準同型であり,その核は
に一致します.ちなみには全射であり,これらの証明は
のノートの周期性の節に載せてあります.その核を
と書くと,代数学の同型定理により商からへの全単射(これをとおく)が得られます.をでない複素数とするとき,の偏角を
により定めます.すなわち,
を満たす実数を取れば
が成り立つわけです.つまりCartanはを数の集合として定めているのですね.Cartanはを
により定めていて,この部分は僕にとっては釈然としないのですが意味としては
で定めることと同じです.
ちなみにどうでもいいことですが,僕のの定義だと
になるんです.